いまや空冷と言われるビッグクルーザーはインディアンMCのみである、「正真正銘の空冷アメリカンビッグV-Twinバイクで空冷なのはインディアンだけです!」
純・空冷という選択
空冷・Vツイン。
それはアメリカン・モーターサイクルの伝統を表現するもの。
シリンダーをV型に配置することで生まれた象徴的なビジュアルと、一度聴いたら忘れられない固有のリズムを奏でるサウンド。そして狭角Vツインというレイアウトからしか得ることができない、唯一無二のライドフィール。古典的でありながらも、モーターサイクルというパッケージにおいて極めて理にかなったVツインエンジンは、いつの時代もエンスージャストの心を掴んできた。
ふと気がつけば、インディアン・モーターサイクルは、いまや古典的な空冷Vツインエンジンを作り続ける唯一のブランドとなった。年を追うごとに厳格化が進む環境規制のなかで、空冷Vツインを作り続けることは決して簡単なことではない。これまでアメリカンVツインをこよなく愛してきたあなたなら、誰よりもそのことを理解しているだろう。一抹の寂しさとともに。
インディアン・スプリングフィールド、インディアン・チーフ、インディアン・チーフテン、インディアン・ロードマスターはこの時代にあって、空冷Vツインエンジンを搭載するモダンクルーザーだ。スプリングフィールドとチーフにいたっては、オイルクーラーさえも持たない「純・空冷Vツイン」を搭載している。なぜそんなことが可能なのか?
いまの時代は、決してこだわりだけでは空冷エンジンを作ることはできない。環境に適合させながら、乗り手をも満足させる空冷アメリカンVツインを作るためには、最先端の技術が必要不可欠だ。創業以来、その時代ごとにアメリカン・モータースポーツの頂点を極め、空冷から水冷まであらゆるVツインエンジンの可能性を、さまざまなイノベーションを通じて追い求め続けてきたインディアン・モーターサイクルだからこそ実現できるもの。古典的なスタイルの中に潜む革新性。それが純・空冷だ。
かつてのサイドバルブ時代を彷彿とさせるような丸みを帯びたシリンダーヘッド。深く、そして磨き抜かれた美しい空冷フィンが整列するシリンダーと、存在感を見せつけるプッシュロッド・タワー。往年の名モデルを思い起こさせるような美しい曲線を、ボトムエンドにいたるまで表現したクランクケース。ボルトのひとつひとつにまでこだわり抜いた精緻な造形美は、見る者の視線を巧みに導き、魅了する。
工業製品として完成の域に達したといっても過言ではないインディアン・モーターサイクルの空冷Vツインは、これまでの歴史を確かに表現しながらも、現代にふさわしいルックスでいまあなたと対峙している。それは単なる懐古主義のためのVツインではない。いまわたしたちが送り出す空冷Vツインとは、アメリカン・モーターサイクルとしての理想を求めて、かつてわたしたちが生み出し、育て上げてきたものにほかならない。
そんな空冷アメリカンVツインが絞りだすサウンドもまた一興。大きなクランクシャフトが作り出したアウトプットがカムシャフトからプッシュロッドへ……まるでOHVメカニズムのひとつひとつさえ手に取れるようなエモーショナルなサウンドと心地よいバイブレーション。そのすべては、スロットルを握るあなたの右手から生み出されるのだ。空冷OHVがもたらす特有のフィーリング。これだけは、一度体験しないことにはその真髄を理解することは難しい。
わたしたちが「空冷サンダーストローク116」と呼ぶ排気量1,890ccのOHVエンジンは、最大トルクの171Nmをわずか3,000rpmで発生する。緻密な電子制御を駆使しながら、空冷Vツインの長所を最大限に引き上げることで実現したのは、現代における空冷Vツインの最適解とも呼べる上質なライドフィールだ。
スロットルの開けはじめからまろやかで優しさすらも感じるサウンドと、それと呼応するように豊かさを増してゆくVツインエンジン特有のトルクフィール。右手をひねるごとにその味わいと力強さが全身を包み込んでゆく。車速が乗ったところで静かにスロットルを閉じてギアをあげ、ふたたび右手をひねる。空冷Vツインだからこそ味わえる、あの心地よい一瞬を求め、そして積み重ねていくうちに、あなたは最果ての地までも走り続けるだろう。
ふとエンジンを止め、愛車のそばでひと息をつく。ついさっきまで全身で堪能していた空冷Vツインのパルス感は、まだあなたの身体をわずかに震わせている。熱を帯びたままのエンジンは、その美しい佇まいで昂った心をそっと癒すだろう。静寂のなかで聞こえてくるのは、鈍い光を放つ空冷フィンから聞こえてくるかすかな金属音だけ。でも、その音が止む頃には、きっとまた走りたくなる——。
モーターサイクルの世界にはさまざまなエンジンが存在している。では、アメリカン・スピリットを紡ぎ続ける正真正銘の純・空冷Vツインとは何だろう?
それは、インディアン・モーターサイクルただひとつ。